专利摘要:
本発明は、腫瘍疾患の治療薬の製造のためのアンギオテンシン変換酵素2(angiotensin converting enzyme 2;ACE2)活性を有するポリペプチドの使用に関する。
公开号:JP2011516501A
申请号:JP2011503304
申请日:2009-04-07
公开日:2011-05-26
发明作者:シャスター,マンフレッド;ハンザック−ホウラット,エブリン;ピボール,ベルンハード;ロイブナー,ハンス
申请人:アペイロン バイオロジックス アーゲー;
IPC主号:A61K38-46
专利说明:

[0001] 本発明は腫瘍疾患の治療に関する。]
背景技術

[0002] 米国癌学会(American Cancer Society)のデータによれば、毎年先進国で540万人、後進国では合計670万人が新たに癌に罹患しており、新たな癌罹病件数は毎年1200万人以上にのぼる。現在、毎年全世界で合計770万人が腫瘍で死亡している。先進国で最も多い3つの癌疾患は前立腺、肺及び腸の腫瘍であり、女性では乳癌、腸癌及び肺癌にかかることが最も多い。感染症が克服可能となり、人間がより高齢化しているため、癌疾患は先進国の死亡統計でより高い位置を占めるようになっている。]
[0003] 開発途上国では状況が異なる。この場合、肺癌、胃癌及び肝癌が男性の最も多い癌疾患である。女性では乳癌、子宮癌及び胃癌にかかるものが最も多い。胃癌と子宮癌は、一般的に感染の結果である。]
[0004] 全体として、全ての癌罹病件数の15パーセントは、発展途上国で暮らす人々がよく感染する病原体によるものである。彼らの場合、腫瘍の26パーセントが感染の結果であるが、先進国では6パーセントに過ぎない。]
[0005] オーストリアでは、他の先進国と同様、癌疾患は2番目に多い死亡原因であり、これを超えるのは心臓・循環系統の疾患だけである。ドイツでは毎年約395,000人が癌に罹患し、その内195,000人が女性、200,000人が男性である。最も多くの事例は60歳を超える年齢で現れる。60歳以下は約107,000件で、新たな癌疾患のおよそ4分の1を占めるに過ぎない。]
[0006] 多くの腫瘍治療、例えば放射線療法、化学療法又は手術による腫瘍除去は、何年も前から確立され、絶えず精密化され、改善されている。新しい治療法としては免疫療法、例えばモノクローナル抗体を使用して血管新生物又は腫瘍細胞の特異的マーカーに狙いを定める治療法が挙げられる。]
[0007] 多くの腫瘍に対して改善された治療方法が最近30年間に開発されているにもかかわらず、70年代の初めに近い将来に終わると予想されたようには、癌との戦いにまだ勝利をおさめてはいない。]
[0008] 先進国においても、現在の癌の治癒率は、様々な全ての癌疾患を両性で合わせて、約30〜65パーセント(米国:65パーセント)である。しかしながら、個々の事例では治癒の成功率は極めて相違する。癌疾患が局部に限られていれば、多くの場合に成功率が良好であるが、腫瘍がすでに身体の幾つかの臓器に広がっている場合は、成功率が大幅に減少する。一般に、癌疾患の早期認知がきわめて重要である。また、患者の化学療法への反応が種々異なる場合があり、ある種の作用物質が全く、又はほとんど利かない患者がいる。]
[0009] 米国特許第6,194,556号及び米国特許第7,482,171号(いずれも参照により本明細書に組み入れる)には、いずれもACE2核酸及びアミノ酸配列、機能的変異型並びにACE2活性を決定するための検定が記載されている。]
[0010] Zhouら(Tohoku J. Exp. Med. 217(2009): 123-131;参照により本明細書に組み入れる)は膵臓の腺癌組織(膵管腺癌−PDAC)でのAng-II濃度及びACE2発現値の変化を記述している。Ang-IIはPDAC細胞系に蓄積し、ACE2タンパク質の発現をダウンレギュレートすることが判明した。そこで指摘されたところによれば、ACE/ACE2の比が特に重要であり、その不均衡が様々な病気を招き、PDACの発病に関連がある。そこでACE2がPDACの治療のための分子標的として提案された。]
[0011] 多くの治療方法の特別な問題は、重い副作用である。癌患者はしばしば、腫瘍疾患のためではなく、腫瘍の克服のために使用される薬剤や方法が原因で死亡する。]
発明が解決しようとする課題

[0012] 従って、腫瘍治療の革新的改善、特に身体固有の(endogenous)薬剤に基づいて行われ、副作用が全く、又はわずかしかない治療法に対する大きな需要が依然として存在する。そこで本発明の課題は、効果的であり、副作用が全くないか、又は少なくとも重い副作用がない腫瘍疾患の治療法を提供することである。]
課題を解決するための手段

[0013] そこで本発明は、肺癌を除く腫瘍疾患の治療薬を製造するための、アンギオテンシン変換酵素2(Angiotensin converting enzyme 2; ACE2)活性を有するポリペプチドの使用に関する。]
[0014] 本発明に従い、腫瘍疾患はACE2活性により治療される。ACE2活性は腫瘍細胞の増殖を効果的に抑制することができ、その際この活性に基づく副作用の心配がないことが明らかになった。]
[0015] 数十年来、レニン・アンギオテンシン系(RAS)には主としてホメオスタシス、とりわけ血圧調節の機能があるとされた。ところが近年、RASのその他の性質が認識され、その作用範囲は、細胞増殖、血管形成、炎症及び組織構造の病理学的変化のような本態的な機能にわたって拡張された。「活性化」RASの鍵ペプチドはアンギオテンシンII(Ang II)である。これはRASの正の調節因子として血管収縮、昇圧、催炎症、増殖及び血管形成促進の性質を有する。またAng IIは反応性超酸化物の形成に寄与する。これらの性質は全て細胞変性を促し、悪性娘細胞の形成に寄与する。こうして変性細胞は血管新生に使用され、原発性腫瘍へと増殖してゆく。Ang IIは様々な充実性腫瘍に大量に存在することが示された。]
[0016] Ang IIの産生に決定的に関与する酵素は、デカペプチドのアンギオテンシンIをAng IIに変換する「アンギオテンシン変換酵素」(ACE)である。ACEは血圧調節カスケード(さらにはRAS)の一部として、特に血圧調節において中心的位置を占める。高いACE活性は血管の緊張を高め、従って血圧を高める。従ってACEの抑制は高血圧(Hypertonia)治療の有効な治療手法である。ACE阻害剤、即ちACEの阻害物質、例えばカプトプリル、エナラプリル、リシノプリル及びラミプリルは一般に最も売れている医薬品に数えられる。従って、上記の考慮に基づき、ACE阻害剤は以前から腫瘍治療の分野でも提案され、使用されてきた。]
[0017] この点に関連して、多くの充実性腫瘍疾患において、Ang IIが高濃度である他に、その受容体AT1及びAT2(AT1R及びAT2R)が著しく過剰発現されていることも示された。Ang IIは腫瘍における血管新生、さらには腫瘍浸潤に大いに寄与する。またAng IIはマイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼリン酸化及びVEGF分泌を促進する。2つの機序は充実性腫瘍の発生と補給で重要であることが認識されている。臨床的に、高いAT1R発現は高いVEGF力価及び著しく短縮される生存予後と相関する。]
[0018] そこで、ACE阻害剤に続いて、多数のAT1Rアンタゴニスト(即ちAng IIによる刺激が血圧上昇効果をもたらすアンギオテンシンII受容体の亜型1の特異的阻害物質)、例えばロサルタン、バルサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、テルミサルタン又はオルメサルタンが腫瘍治療の分野で提案された。]
[0019] しかしながら、血圧降下の分野での(商業的)成功にかかわらず、ACE阻害剤又はAT1Rアンタゴニストの使用は、例えば一部で重い副作用といった欠点を伴う。]
[0020] また、ACE阻害剤又はAT1Rアンタゴニストに基づいて提案された腫瘍治療案は、このような提案がすでに最初のACE阻害剤(カプトプリル、1974年;1981年から市販)又はAT1Rアンタゴニスト(ロサルタン;1996年から市販)の開発直後に行われたが、いまだに普及していない。この機序は少なくとも学術的には興味深いと思われるが、臨床的腫瘍治療での効果的な実際使用を広範な基盤の上に実現することはできなかった。]
[0021] RASのもう一つの必須エフェクターペプチドはアンギオテンシン1-7(Ang1-7)である。このペプチドはAng IIに対する完全なアンタゴニストである。即ちAng IIはRASの正の調節因子であるが、Ang 1-7は負のRASモジュレーターとみなすことができる。Ang 1-7はAng IIの効果を弱め、抗高血圧、抗炎症、抗増殖、抗血管新生及び血管拡張の性質を有する。Ang 1-7はNOシンテターゼを活性化し、AT1受容体の発現も低下させる。またAng 1-7はAng IIによって誘導されるMAPキナーゼリン酸化を抑制する。さらにAng 1-7はin vitroで肺癌細胞系の増殖を、マウスの実験的腫瘍モデルで腫瘍の増殖を阻止する。面白いことにACE、即ちAng IIの産生に決定的に関与する酵素は、Ang 1-7によって抑制される。このため、Ang 1-7はそのアンタゴニストAng IIの合成を阻止する。Ang 1-7を腫瘍治療に使用することも提案されたが、このペプチドの半減期が短いために連続的な注入が必要であり、それは実際には非常に面倒であり、患者にとって大きな制約を伴う。]
[0022] 興味深いことだが、活性化するAng IIと不活性化するAng 1-7の比を調節するRASの鍵酵素が存在する。即ちこの酵素、ACE2は1997年に発見されたが、RASのモジュレーターとしてのその最も重要な機能は2000年に始めて認識されたのである。ACE2は様々な臓器、例えば心臓、腎臓、肝臓及び肺、さらには血管の膜結合型糖タンパク質としてAng IIをAng 1-7に変換する。ACE2の発現は様々な刺激によって制御されるが、基礎をなす機序は今日なお十分に解明されていない。ACE2の協動/調節のもとで起こるその他の種々の反応経路がすでに報告されている。またAng IIのAng 1-7への転換の他に、おそらく多くの反応経路がまだ知られていない。ACE2は炎症性サイトカインの存在下でダウンレギュレートされ、その結果、当該区画のAng IIの病的蓄積と臓器障害をもたらし得る。]
[0023] 臓器障害の結果、又はウイルスもしくは細菌感染の後の炎症過程に基づき、炎症性サイトカインの放出が起こり、それが内因性ACE2発現、それとともに防御Ang 1-7の形成を減少させる。その結果、反応性Ang IIが蓄積し、萌芽期の炎症過程を増強する。また組織内の反応性酸素種の濃度が増加する。増殖性と血管新生性が相俟って、ますます増殖性の環境が生じ、一層のAng II蓄積を促進し、増幅する。この悪循環を断ち切るために、意外なことに本発明に基づきACE2活性の使用が腫瘍細胞の増殖の抑制に効果的であることが証明された。この活性を治療のために投与すれば、Ang IIの蓄積を効果的に抑制し、又は予防することさえでき、炎症及び増殖性環境を抑えることもできる。高められ、又は回復されたACE2活性によって、病的に高いAng II濃度が直ちに阻止される。Ang 1-7が後産生され、その抗炎症作用によって炎症をも弱める。更に、Ang 1-7はACEを阻害する性質によって、Ang IIの後産生を制限する。Ang 1-7は細胞増殖を阻害し、その結果AT1Rの発現を低下させる。従って、ACE2活性の使用は種々の腫瘍疾患の効果的な治療戦略である。それによって細胞変性も、増殖する腫瘍の血管新生も、充実性腫瘍の転移も抑制することができるからである。]
[0024] ACE2酵素活性を本発明に基づき使用することによって、身体に既知の、従って異質性を示さない酵素活性によって、腫瘍疾患で平衡を失った分子調節系を再び安定した初期状態の方向に向かわせることができる。作用特異性がたいてい制限されており、その分解産物が患者の代謝にとって問題である、より人工的な小分子(small molecules)と対照的に、ACE2酵素活性は身体の平衡及び調節過程に組み込まれているため、予想外の副次反応の確率は極めて低い。意外なことに、ACE2は平衡を失った過程を再び安定な初期状態の方向へ向かわせることができるが、ACE2活性の用量を増やしても、この平衡を超えて他方の方向へさらに進んだ効果を得ることはできないことが示された。]
[0025] 本発明に従って治療される腫瘍の種類から肺癌を形式的に除外したのは、肺疾患の治療のためのACE2の使用が記載された国際特許公開第2004/000367号を考慮したためである。この出願では、ACE2ノックアウトマウスで重い肺障害が観察され、このようなマウスで、ACE2投与によって肺障害が阻止又は低減されている。こうしてこのような肺障害、特に「急性呼吸困難症候群」(ARDS)の対症療法のための治療案が確かめられた。ARDSでは類似の肺障害が観察されるからである。類似の肺障害は他の肺疾患でも知られているため、国際特許公開第2004/000367号ではそこに開示された動物モデルに基づき、肺癌の治療も含め、他の肺疾患に対するACE2活性の使用が提案されている。しかしながら、国際特許公開第2004/000367号の開示が、肺癌の治療のために提案された使用を他の腫瘍疾患にも拡張すべきであるという示唆を当業者に対してなんら与えていないことは明瞭である。国際特許公開第2004/000367号の開示は、当業者にとって、種々の肺疾患で観察される具体的な肺障害の治療又は阻止のためにACE2活性を使用するという提案に尽きている。しかも国際特許公開第2004/000367号は肺癌の特異的かつ根源的治療もしくは肺腫瘍又はこの腫瘍の変性細胞の増殖の減少のための具体的な開示を含んでいない。従って、肺癌に対してACE2により肺機能の改善を得るという国際特許公開第2004/000367号の提案は、本発明にとっていかなる技術的教示ももたらさず、肺癌での形式的、偶然的な重なりを示すに過ぎない。]
[0026] 本発明は、腫瘍疾患の広範なスペクトルで、基本的にはAng IIにより腫瘍に伴って血管新生が生じるあらゆる場合、全ての充実性腫瘍及び多くの造血器癌疾患の場合(少なくともこの種の悪性血液疾患の幾つかの段階)に適用することができる。]
[0027] 疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD-10)は、悪性腫瘍をその部位に従って分類している。従って、本発明に基づき治療される腫瘍の好適な部類は、同様にこのような局所的部類に割り当てられる。]
[0028] そこで、本発明に従って治療される腫瘍疾患は、好ましくは生殖器官の腫瘍疾患、特に卵巣癌、睾丸癌、前立腺癌又は乳癌、消化管の腫瘍疾患、特に胃癌、腸癌、直腸癌、膵臓癌、食道癌及び肝臓癌、腎臓癌、黒色腫又は神経芽細胞腫から選ばれる(ここで「癌」、「腫瘍」、「癌腫」等の表現は常に同義に使用され、悪性疾患に関するものである)。]
[0029] 本発明は特に、腫瘍細胞の増殖の阻止又は低減のために適している。この効果は公知の治療案と組み合わせて使用することができる。従って、本発明に基づくACE2療法は、従来の腫瘍治療と組み合わせて、特に放射線療法、化学療法、ホルモン療法、抗体療法、ターゲット療法(targeted therapy)、例えばチロシンキナーゼ阻害剤及び/又は手術による腫瘍除去と組み合わせて使用することが好ましい。本発明に基づく治療は、腫瘍疾患のごく初期の段階でも使用することができ、それによって治癒率が大幅に増大する。]
[0030] 従来の腫瘍治療は、手術、即ち腫瘍及び隣接のリンパ節の手術的除去、放射線療法(放射性物質(例えば甲状腺により積極的に吸収される放射性ヨウ素)、X線、陽子線治療又はイオン照射(腫瘍の周囲の組織を傷めない陽子又はイオン照射)、マイクロ波(罹患組織の加熱)による)及び薬物治療(細胞傷害剤(癌細胞の増殖を阻止又は停止する「化学療法」)、ホルモン療法(例えば前立腺癌でテストステロン遮断による)、増殖受容体誘導シグナル伝達の阻止、血管増殖の阻害(抗血管新生剤)又は免疫療法(腫瘍細胞に対する免疫応答値を高めるため、もしくは腫瘍抗原に対する特異的(モノクローナル)抗体の使用による又は放射免疫治療)を包含する。]
[0031] 本発明に基づくACE2治療は、緩和的治療又は腫瘍患者の生活の質の向上のために、特にこれらの疾患の終末期でも使用することができる。緩和的治療はこのような患者への鎮痛剤投与、十分な栄養の保証、骨折(Knochenabbaues)の阻止、骨髄の造血の増進、対症療法(例えばバルーン拡張術又はステント挿入による狭窄の拡張)及び物理療法を包含することができる。]
[0032] 特に好ましくは、本発明に係るACE2活性は、腫瘍治療後の続発症(sequelae)又は副作用の治療、特に放射線療法、化学療法又は腫瘍手術の続発症の治療のために使用する。この場合、統制を失った身体固有の調節系を再び「鎮静」させるACE2活性の能力が特に決定的に重要である。]
[0033] 本発明は、ACE2活性の好ましい全身投与及び腫瘍細胞の増殖の減少効果に基づき、特に腫瘍の転移の阻止のために好適である。]
[0034] 好ましくは、腫瘍、腫瘍の周囲又は腫瘍患者における高いアンギオテンシンII濃度が特徴的な腫瘍疾患を、本発明に基づき治療する。ACE阻害剤又はAT1Rアンタゴニストとは対照的に、ACE2によって高いAng II濃度を副作用なしで減少し、こうして腫瘍疾患でのAng IIの負の効果を抑えると同時に、抗増殖及び抗炎症効果のあるAng 1-7の濃度を高めることができる。]
[0035] 腫瘍疾患に関連する悪性腔水症、種々の浮腫又は血管透過性の上昇を本発明に基づき治療することが好ましい。]
[0036] 前述のように、ACE2活性は全身投与可能な形態、特に好ましくは静脈内投与可能な形態又は鼻腔スプレーの形態、特にリポソーム形態で投与することが好ましい。しかしながら、局所投与可能な形態、特に腫瘍内又は皮内形態でACE2活性を投与することもできる。患者への投与の際に可溶形態のACE2を使用することが特に好ましい。]
[0037] ここで、「ACE2活性を有するポリペプチド」、「ACE2ポリペプチド」、「ACE2」又は「ACE2活性」は同義であって、化学的意味で天然のヒトACE2の活性に相当する酵素活性を有すると理解される。天然のヒトACE2は、とりわけ肺、腎臓及び心細胞、さらには内皮細胞で受容体として発現される膜結合性カルボキシぺプチダーゼである。ACE2は種々のペプチド基質、例えばアペリン、ブラジキニン、さらにはアンギオテンシンI、特にAng IIを分解し、アンギオテンシンIは分解されてアンギオテンシン1-9となり、Ang IIは分解されてAng 1-7となる。Ang II及びAng 1-7は−前述のように−RASのアンタゴニストである。ACE2はペプチド比の制御によって血管の厚みの調節及び内皮透過性に決定的に関与し、そうすることで生物のホメオスタシスに影響する。ACE2の発現はサイトカインにより制御され、種々の炎症性疾患で低減され、その結果、ACE2の主要な基質の1つであるAng IIの病的な濃縮をもたらす。従って、本発明に基づく「ACE2活性」は、少なくともAng IIを特異的にAng 1-7に変換することができるポリペプチド(「ACE2ポリペプチド」)をいう。]
[0038] 特に好ましいACE2ポリペプチドは、ACE2活性を有する、即ちAng IIをAng 1-7に変換することができ、天然ヒトACE2との比率で少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも100%、特に少なくとも150%(それぞれモル活性基準で)の活性を有する天然ヒトACE2のフラグメントである。]
[0039] 腫瘍の存在で増加したAng IIをACE2活性の上昇によってダウンレギュレートすることができ、その結果Ang 1-7もin situで利用可能になることが、本発明に基づき見出された。従って、本発明に基づきACE2によりACE阻害剤及びAT1Rアンタゴニストの正の効果が得られ、また患者のAng 1-7の正の効果が利用可能になった。それ故、腫瘍患者でACE2活性を高めることは、種々の腫瘍疾患の治療として非常に好適である。この目的のために、外因性ACE2を、例えば可溶性タンパク質として全身投与し、又は内因性活性を適当な活性化剤もしくはアゴニストによって増進することができる。好適なACE2活性化剤又はACE2アゴニストの例は、例えば国際特許公開第2004/000365号及び米国特許第6,194,556号に記載されている。好適な治療的アプローチによってACE2発現、それとともにACE2活性を高めることもできる。例えば、機能的ACE2酵素(ACE2ポリペプチド)をコードする核酸を腫瘍患者に導入することによって、患者に高いACE2活性を確立することができる。]
[0040] しかしながら、本発明に従い、酵素活性を、特に組換えACE2産物の形で自己投与することが好ましい。本発明に基づくACE2産物は、前述のように好ましくは可溶形態のヒトACE2酵素(膜結合形態で体内に存在する)である。ヒト野性型(wt)ACE2分子は805個のアミノ酸残基を有する。アミノ酸1−17はシグナル配列であり、C末端ではタンパク質が疎水性であり、この末端で膜に固着されている。従って可溶形態のACE2では、好ましくは疎水性のC末端領域が除去されている。従って、本発明に基づき好ましく使用されるACE2ポリペプチドは、C末端に膜貫通ドメインを持たない。そこで、腫瘍治療に使用される本発明のACE2活性の好ましい変型は、C末端の60〜200個のアミノ酸の欠失を有する。特に好ましい実施形態として、ポリペプチド鎖がアミノ酸18−740又はその酵素活性フラグメントからなる可溶性ACE2ポリペプチドが挙げられる。別の好ましいポリペプチドはACE2配列のアミノ酸18−615又はその酵素活性フラグメントからなる。]
[0041] 本発明に基づくACE2活性の好ましい形態は、欧州特許出願第08450052.9号に記載されているように二量体型である。二量体型は−他の先行技術で述べられた単量体型と対照的に−同様に荷電した溶液(例えば生理的輸液溶液、血清、塩溶液等)により良く溶解し、凝集体の形成がなく、プロテアーゼによる攻撃にさらされることが少なく、半減期が長く、精製が容易である。]
[0042] ACE2の可溶性断片は7個のN-グリコシル化部位を含む。グリコシル化が不完全なACE2は溶解不良であり、凝集の傾向があり、潜在的に免疫原性があり、より短い半減期を有する。従って、特に二量体組換えACE2ポリペプチドは、可能なN−グリコシル化部位の少なくとも80%でグリコシル化され、10%以上(全ACE2の重量%)又は11%、12%、13%、14%以上、好ましくは15%又は16%、17%、18%、19%以上、特に20%以上又は21%、22%、23%、24%又は25%以上の糖部分を有することが好ましい。]
[0043] 欧州特許出願第08450052.9号には、高純度で活性が高く、完全に複合的にグリコシル化された二量体ACE2を再現性をもって製造することができる製造工程が記述されている。この産物は、その高い糖部分(>20重量%)及び複雑な、著しく分岐し、部分的に負に荷電した糖構造を特徴とする。これは製品の可溶性、バイオアベイラビリティー、純度、活性及び薬理的性質にプラスの影響がある。好適な発現構築物、好適な発現宿主、最適化された選択戦略の選択により、また細胞代謝に適応させた培地により、さらに綿密な付随的クローン分析及び選択により、所望の産物をもたらす細胞系を作ることができた。]
[0044] グリコシル化された組換えACE2ポリペプチドを本発明に基づき使用することが好ましい。その場合、ACE2ポリペプチド単量体の糖部分(Glycogruppen)は合計で少なくとも10、11、12、13、14、15又は少なくとも16個のシアル酸残基を有し、ACE2ポリペプチドは二量体をなす。二量体は2個の亜鉛イオンを含むことが好ましい。尚、シアル酸残基とは、(オーストリア特許出願第913/2007号又は欧州特許出願第08450052.9号に記載されているように)特にN-又はO-グリコシル化のN-アセチルノイラミン酸型残基(Neu5Ac)を意味する。]
[0045] そこで好ましいACE2ポリペプチドは、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、特に少なくとも90%、最も好ましくは100%のグリコシル化されたN-グリコシル化部位にシアル酸を有し、好ましくはACE2配列のAsn53、Asn90、Asn103、Asn322、Asn432、Asn546、Asn690に相当するN-グリコシル化部位がシアル化されている。特定の実施形態では、ACE2配列のこのAsn53、Asn90、Asn103、Asn322、Asn432、Asn546及び/又はAsn690に相当するアスパラギンが個々に、もしくは全て一重、二重、三重又は四重にシアル化されている。好ましいACE2製剤では、このアミノ酸の好ましくは少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%又は100%が一重、二重、三重又は四重にシアル化されている。]
[0046] 本発明に従い、二量体ACE2ポリペプチドを含む組換えACE2ポリペプチドの製剤を使用することが好ましい。その場合、分子量100kDa以下、好ましくは104kDa以下、特に好ましくは108kDa以下、特に112kDa以下、特に好ましくは117kDa以下、最も好ましくは119kDa以下のACE2ポリペプチドの割合が20%以下、好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下、最も好ましくは1%以下、特に0%である。この割合は、例えばネイティブゲル電気泳動によって決定される。膜貫通ドメインを有するACE2ポリペプチドの割合は20%以下、好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下、最も好ましくは1%以下、特に0%であることが好ましい。]
[0047] ACE2多量体の割合は20%以下、好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下、最も好ましくは1%以下、特に0%であることが好ましい。ACE2多量体とは3個以上のACE2ポリペプチドを有する複合体を意味する。ACE2分子のACE2二量体の割合は少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は少なくとも99%であることが好ましい。別の実施形態では、これと組み合わせて、又は独立に、ACE2分子のACE2単量体の割合は少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は少なくとも99%であり得る。]
[0048] 本発明に従って使用されるACE2ポリペプチドは、Ang IIのAng 1-7(アンギオテンシン1-7)への変換に関して少なくとも4/s、好ましくは少なくとも5/s、特に好ましくは少なくとも6/s、特に好ましくは少なくとも7/s、最も好ましくは少なくとも7.6/sのACE2ポリペプチド又は製剤の触媒活性(kkat)を有することが好ましい。この変換は公知の方法で、特にオーストリア特許出願第913/2000号の実施例に記載されているように簡単に検定することができる。]
[0049] 本発明の好ましい実施形態によれば、とりわけ予後不良な腫瘍患者が本発明に基づきACE2活性により治療される。]
[0050] 本発明を下記の実施例に基づき詳しく説明するが、これらに限定されるものではない。]
[0051] 高グリコシル化ACE2の発現
ACE2遺伝子の高い発現を生じさせるために、増幅可能な選択マーカーDHFRを予め挿入した発現ベクターにヒトACE2配列の可溶性部分をクローニングした。このために、ACE2及びDHFRをコードする遺伝子の間に弱力化したIRESを挿入した。このIRESは同じmRNAでACE2及びDHFRの2シストロン読取りを可能にする。双方のタンパク質を同じプロモーターの制御下で発現させた後、アンタゴニストMTXを使用してDHFRを選択することにより、ACE2発現を高めることができる。この戦略によって、一定な品質の製品の高い収量をもたらす特に安定した発現細胞系を得ることが可能である。これにより、特定の標的タンパク質の組換え発現にはおそらくあまり適さない細胞系においても、妥当な製品力価を得ることが可能となる。]
[0052] このベクターをCHOdhfr-にトランスフェクションし、MTX圧力を連続的に高めながらACE2遺伝子のコピー数を増幅した。幾つかの選択及びサブクローニングを介して、細胞内FACS分析並びに最適な産物特性のタンパク質化学的及び酵素的分析により、最良の生産者を選択した。即ち、最適なクローンの選択のために、とりわけ3種の異なる基質で測定された特異的酵素活性、産物の均質性、細胞生産性、さらには糖の複雑度を考慮した。高い酵素活性を有する複雑なN−グリコシル化ACE2を発現させるために、高グリコシル化クローンの特異的選択により産物の性質を改善した。]
[0053] 可溶性ACE2は83kDaの分子量を有するが、その糖構造に基づきSDS-PAGEで120kDaまでの範囲のクローンを選択する。さらに予備クローンを無タンパク質増殖培地に移した。この培地は化学的に規定されており、CHOでの糖タンパク質の組換え発現に適応している。全てのクローンを培養に保持し、その製造工程適格性を検査した。特に増殖速度を記録し、産物の移動と代謝産物について上清を調べた。また発現産物及びクローンを詳しく分析した。]
[0054] 全てのクローンは高活性ACE2を発現し、約20-30pg/細胞/日の生産性を有した。さらに糖構造及びその多様性も分析した。ACE2の7個のN−グリコシル化部位が全てプロセシングされたクローンを選択した。これらの部位は末端シアル酸を有する少なくとも1個の2分岐した、幾つかはさらに3分岐した複合グリコシル化を有する。最終的に選択されたクローンに基づき、マスター細胞バンクを作成、かつ検定し、GMP適格精製工程、またその結果としてGMP製造工程を構築した。]
[0055] 本実施例に基づき調製されるrACE2は二量体として得られる。ACE2の二量体化のために、全ての疎水性タンパク質単位は複合体の内部に向けられており、荷電残基、例えばN-結合糖鎖は外側へ突出し、同じく荷電した生理的環境で構造が溶媒和される。]
[0056] 完全にN-グリコシル化したACE2のこの二量体化をZn2+の存在下での発現によって確認した。この場合二量複合体は、互いに静電的に結合し、生理的溶液中でもはや分離しない2個の同一のサブユニットを含む。この場合、各ACE2分子ごとにそれぞれ14個の強く荷電したシアル酸構造をもち、二量体中に28個のシアル酸構造がある糖タンパク質が分泌される。それぞれ2個のZn2+原子が複合体に組み込まれ、その構造を安定化する。糖鎖の強い電荷は分子を生理的水溶液中で溶媒和し、当該の荷電タンパク質ドメインを外側へ押しやる。最終産物中にもっぱらACE2二量体が生じるように、製造工程を構成した。rACE2の生成の際に十分なZn2+イオンが存在し(好ましくは1.5-5マイクロモルのZn2+を使用し、特に2.5-3.5μMのZn2+で発酵を行うことができる)、続いてZn2+イオンの存在下でその後の処理段階を行うことで、これが可能になる。]
[0057] 産物の薬理学的性質
実施例1により調製された二量体ACE2製剤は、生理的緩衝液中で安定した高純度の濃縮タンパク質溶液であり、更に安定化処理をせずに貯蔵し、投与することができる。]
[0058] このACE2は糖部分の比率が高いため、多量体に凝集することがない。さらにACE2製剤は十分な酵素活性を有する。]
[0059] ACE2はその溶解性に基づきボーラスとして静脈内に、また皮下にも投与することができる。同じ理由から、投与後直ちに全身的にバイオアビリティーが保証される。著しく分岐した複雑な多量の糖部分のために、ACE2はごく緩慢に分解される。その結果、少なくとも10.5時間の長い末端半減期が生じる。それはアカゲザルを含む様々な種で測定された。]
[0060] また高いシアル酸部分は、ヒトにおいてACE2に対して中和免疫応答が構成されないことの原因となる。中和免疫応答はACE2の外因的投与に対して逆効果となるだけでなく、自己の細胞内ACE2をも中和するであろう。従って上記のACE2製剤は、全ての付随的製品特性と相俟って、rhACE2による効率的な治療を初めて可能にするのである。]
[0061] 特異的ACE2活性の決定
Ang II(Asp-Arg-Val-Tyr-Ile-His-Pro-Phe)の変換を測定することによってACE2製剤の特異的活性を決定した。全ての測定は100μlのバッチ容積で三重決定として行った。pH6.5で50mM MES、300mM NaCl、10μM ZnCl2及び0.01% Brij-30中の80μMのAng II溶液に250ng/mlのACE2を加えることによって酵素反応を開始した。試料を入念に混合し、37℃で正確に18分間培養した。100mMのEDTAを加えて酵素反応を停止した。分析のために、溶液を、RP-HPLC(Waters C18μBondapak, 2.1x300mm, 10μm, 125Å)により、0.08% H3PO4中10〜60% CH3CNの直線勾配を使用して1ml/分の流速で20分間分離させた。さらにクロマトグラムでAng II及びAng 1-7の両者のピークを識別し、積分した。検量線に基づきペプチド濃度を決定した。さらに酵素的変換及び特異的酵素活性を決定した。]
[0062] 実施例1に基づき調製されたACE2製剤は、AngII変換による測定で8.0±0.3/s、Ang 1-7変換に関しては8.8±0.2/sの触媒活性kkatを有する。2つの値はよく一致しており、3.5/sのACE2触媒活性を発表したVickersら(J. Biol. Chem. 2002 277(17); 14838-43)のデータより著しく高い。反応条件は同じであった。]
[0063] 本製剤の活性が240%高いことの原因は、翻訳後修飾、この場合主としてN-グリコシル化であると思われる。Vickersが使用した材料では、これはあまり指摘されていない。そこに記載された材料は昆虫細胞で発現され、同じアミノ酸配列を有するが、しかしグリコシル化の割合及び分岐度がはるかに低かった。さらに、同じく2.0±0.1/sのはるかに低いkkat活性を有するR&D systemsの市販のACE2製剤(cat. 933-ZN)も調べた。本発明に基づき好ましく使用される二量体製剤の重要な性質は、とりわけ翻訳後修飾によって可能になる驚異的に高い活性である。]
[0064] 腫瘍細胞の増殖の抑制
ヒト腫瘍細胞系を、96ウエル・プレートで10%FCS中200μlのRPMI1640中に2.5x104個/mlの細胞密度で播種し、37℃及び5%CO2で培養した。下記の試験系を使用して、RASの様々な活性成分の影響を評価した。全ての分析は三重決定として行われた(sACE2=C末端膜ドメインのない可溶性ACE2)。]
[0065] 条件A対照として10%FCSを含む培地RPMI1640
条件B 100nMのAng IIを補足した培地
条件C 100nMのAng 1-7を補足した培地
条件D 20μg/mlのsACE2を補足した培地
条件E 20μg/mlのsACE2及び100mMのAng IIを補足した培地
毎日100μlの培地を取り出し、同じ体積の新しい特定の培地を補充した。細胞数を第2、3、6、8、10、13、15及び17日に血球計での多重計数により決定した。決定のつど別個に用意した計数盤を使用した。]
[0066] 異なる増殖条件に起因する細胞数決定の著しい相違が第4培養日から明らかになった。Ang IIの添加は著しく高い細胞増殖をもたらした。これに対してAng 1-7は細胞増殖を減少させた。ACE2単独では(当然のことながら基質の欠乏のため)限界的な高い増殖を誘導するが、Ang IIの存在下でACE2を添加すると、Ang 1-7単独の添加と同様に、細胞増殖を低下させた。従って、ACE2はAng IIにより誘導された高い細胞増殖を中和するだけでなく、ペプチドAng 1-7の効果によりこれを抑制した。これは明らかにACE2の他にAng IIも増殖培地に添加した場合にだけ形成された。]
実施例

[0067] 従って、ACE2は「活性化する」Ang II側を弱め、「弱力化する」Ang 1-7側を増成することも本実施例で示された。実験的に証明されたように、いずれの効果も腫瘍細胞の増殖を低下させる。]
权利要求:

請求項1
肺癌を除く腫瘍疾患の治療薬を製造するためのアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)活性を有するポリペプチドの使用。
請求項2
腫瘍疾患が生殖器官の腫瘍疾患、特に卵巣癌、睾丸癌、前立腺癌又は乳癌、消化管の腫瘍疾患、特に胃癌、腸癌、直腸癌、膵臓癌、食道癌及び肝臓癌、腎臓癌、黒色腫又は神経芽細胞腫から選ばれるものである、請求項1に記載の使用。
請求項3
腫瘍治療後の続発症(sequelae)又は副作用の治療のため、特に放射線療法、化学療法又は腫瘍手術後の続発症の治療のためにACE2を使用する、請求項1又は2に記載の使用。
請求項4
腫瘍の転移の防止のためにACE2活性を有するポリペプチドを使用する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
請求項5
腫瘍疾患が腫瘍内、腫瘍周辺又は腫瘍患者内の高いアンギオテンシンII濃度を特徴とするものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
請求項6
腫瘍疾患に関連する悪性腔水症、浮腫又は高い脈管透過性の治療のためにACE2活性を有するポリペプチドを使用する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
請求項7
ACE2活性を有するポリペプチドが全身投与可能な形態、好ましくは静脈内投与可能な形態又は鼻腔スプレーの形態、特にリポソーム形態で存在する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
請求項8
ACE2活性を有するポリペプチドが局所投与可能な形態、特に腫瘍内、皮下又は皮内形態で存在する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
請求項9
可溶形態のACE2を使用する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
請求項10
二量体形態のACE2を使用する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。
請求項11
ACE2活性を有するポリペプチドを、従来の腫瘍治療と組み合わせて、特に放射線療法、化学療法、抗体療法及び/又は手術的腫瘍除去と組み合わせて使用する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用。
請求項12
腫瘍疾患が患者にとって予後が不良であることを特徴とするものである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の使用。
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